良かれと思ってアドバイスしたことのほとんどは相手を苛立たせるクソバイスになりえます。もうそういう時代になりました。どんなに有益で、役に立ち、その人を思ってした善意の忠告であっても、今やTwitterでの私刑によってただの「余計なお節介」以上の「人を傷つけるクソリプ」になり得る時代なのです。
いやいやいや、そんなことはない、相手のお気持ちを配慮して誠実に助言すれば伝わる場合も多いじゃん、とお思いですか?
甘いですね。「人類が疫病に勝った証」としてオリンピック開催しようと決意表明する菅新首相より甘い。www.asahi.com 菅さんも先に「疫病に勝つ」を立証してから言ってくれよ
では今から私がソレを立証してみましょう。
クソバイスを生み出す五大要素
世にある多くのアドバイスは以下の5つの要素でいとも簡単にクソバイス認定され、SNSなどで断罪されると考えられています。(私の中で)
- 言う相手をまちがえる
- まるで見当ちがい
- タイミングが悪い
- 上から目線
- 子どもが悲しむ
ちなみに「クソバイス」は犬山紙子さんが作った造語です!
上から順に見ていきましょう
1,言う相手をまちがえる
誰だか忘れてしまいましたが、排水溝ネットを交換する前に新しいネットに洗剤付けてシンクを洗ってから交換する。というライフハックを教えてくれた人本当にありがとうございました。
— こぼろ🚼小児科医 (@kobonelson) 2020年9月9日
シンクは綺麗に保てるし、掃除用のスポンジ置かなくて済むし最高です。
今年9月にバズっていてみんなが役に立ったと大騒ぎしていたライフハックです。たとえばこの有益アドバイスさえ、言う相手をまちがえるとただのクソバイスになりえます。
いわゆる「釈迦に説法」パターンです。ツイッターなどでもよく、プロ中のプロにうっかり何も知らずに基本的なことをアドバイスしてしまう可哀想な素人アカウントが吊し上げに合うのを目にしますよね。
最近の若い方はご存じないかもしれませんが、いや、むしろお騒がせYouTuberとしての認知度の方が高いのかもしれませんが、松居一代さんは「お掃除のプロ」としてマツイ棒などの掃除グッズをヒットさせ一財を築いた隙間掃除のプロ中のプロなのです。
マツイ棒
まあそれ以上に、あの船越英一郎の元嫁であり、開運お財布専用ふとんのエッセイストであり、名誉毀損で訴えられた例の元女優の松居一代さんなのです。百歩譲ってご本人にはクソリプと思われないかもしれませんが、外野から見て明らかに全方位スキのないクソリプ判定出されてしまいますよこれは。
この「言う相手をまちがえる」には他にも、自分の方が立場や経歴が優位に立つことから突きつけられる「マウンティング断罪」パターンもあります。自分の恵まれた環境に無自覚のまま善意だけで有益情報を教えると「あいつアドバイスでマウント取ってきやがったな」などとクソバイス判定されてしまうのが世の常なのです。
www.mamazero.com なんかこの辺にそんなこと書いた
2,まるで見当ちがい
見るからにクソバイスっぽいアドバイスですね。でも実はこのようにどんなに非科学的で信憑性皆無な情報であっても、受取手の想定をはずしてさえいなければ、それはクソバイスになりえません。
逆を言えば、どんなに相手のためになる有益情報でも、「受取手の想定や見当」を大幅に外してしまうと見事なクソバイスになってしまいます。
他にも「まるで見当ちがい」なクソバイスをしてしまう例として「価値観のおしつけ」パターンがあります。受け取り側の気持ちを理解せず自分の善意だけで価値観をおしつけてしまうと、悩みが解決しないばかりか苦悩を増やし、心の寄り添い方さえも見当ちがいなクソバイスをしてしまいがちです。これに非科学が加わると更なる地獄に突入します。
3,タイミングが悪い
たとえどんなに相手を選んで、およそ見当のつく有益なアドバイスをしたとしても、タイミングを間違えただけで簡単にクソバイスになり変わります。
「タイミングが悪い」には他にも、求められていないのにアドバイスする「いらぬお節介」や、事後のアドバイスをしてくる「時すでにオスシ案件」や、わかりきったことを言ってくる「今やろうとしてたのに現象」などがあります。
ちなみに「今やろうとしてたのに現象」というのはアレです、そう、ちょうど今宿題をやろうとしてた時に限って母親に言われる「宿題やりなさい」のことです。なぜかとても腹が立つことでおなじみ。
4,上から目線
ところで最近「アドバイスの名手」といえば鴻上尚史さんを思い浮かべる人も多いと思います。AERA.dotの連載「ほがらか人生相談」はたびたびバズり、その広い見識と的確な言葉選びから「神回答!」などとネット上で絶賛されています。
好評を博して本も出版されました
こちらの記事では、なんと鴻上さん自ら「クソバイスとは何か」について丁寧に優しく解説されています。(いや、クソバイスとは言ってないですさすがに。)公開期限が迫っておりますので興味のある方は読んでみてくださいね。
さて、その鴻上さん珠玉のアドバイスも「上から目線」になればクソバイスになり変わるのか、簡単な実験してみましょう。
自分を嫌いになりたくないから、他人を責めて感情のバランスを取るという心理です。自分が不安な時、自分より弱い立場の人を責めて安心したり、誰かのミスを激しく責めたててネガティブな感情を発散させる心の動きです。
(中略)あなたが自分を嫌いだからこそ、自分の分身である娘さんを嫌いになるんじゃないかと思うのです。
「15歳になる娘の全てに興味が持てない」と苦しみ苛立つ39歳母親 鴻上尚史が紐解いた「娘に嫌悪感」を持つ理由 (1/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)
「娘を好きになれない」という相談者さんへのアドバイスより抜粋しました。相手の気持ちに寄り添うようにとても言葉を選ばれていて親切ですよね。でもこれと同じ内容を全て「上から目線」で説明するとこうなります。
不幸な他人を叩くことで、シャーデンフロイデ(加害の喜び)という感情を引き起こして、惨めな自分の人生がましに感じられるという錯覚が起こります。
— メンタリストDaiGo (@Mentalist_DaiGo) 2020年9月23日
愚かで惨めな貧民の唯一の楽しみなのでしょう。 https://t.co/hyv0NODHSm
どうでしょうか。クソバイスになりえましたでしょうか?
5,子どもが悲しむ
なんでなのかよくわかんないんですけど、どんなに良いアドバイスでもそれによって子どもが悲しんだらそれはクソバイスです。ちょっと軽く想像してみたくださいね。女性にアドバイスする→その人が実は母親で、それを見た子どもが悲しむ→子ども泣く→「ママを悲しませるなああああ!」→ああああ正論だけどクソバイスだよねええええ!
それでは具体的に例を見てみましょう
有名な映画のセリフです。とても美しいシーンですね。これがアドバイスなのかどうかもよくわかりませんが。
クソバイスですよね。もうこれ完全にクソバイス。状況がようわからんがもうどうあがいてもクソバイスです。異論は認めない。
最後とおりすがりのオジさんがくさいセリフで余計なアドバイスしたら、近くにいた子どもが勘違いして号泣、クラリスちゃん困らせてクソオブクソだったわ。 pic.twitter.com/4JIzdcniO9
— タイクツ (@taikutu262) 2020年10月2日
おわります
以上を証明することにより私が伝えたかったのは「アドバイスする時はこの5大要素に気をつけるべき!」ということではありません。
「アドバイスのほとんどはクソバイスになりえるから覚悟しておけ!」
ということです。世の中のほとんどあらゆる助言は人を傷つけるクソバイスになりえます。5大要素を未然に全部防ぐなんてムリゲーね。
困っている相手の立場がわからないことなんてザラだし(メンタリストでもあるまいに)、他人の想定なんか到底わかりえないし(DaiGoじゃあるまいし)、最良のタイミングなど神のみぞ知る領域だし(DaiGoじゃあるまいし)、まあ上から目線は言葉に気をつければなんとかなりそうだけど(DaiGoでもあるまいし)、どんなに気をつけていても子どもは泣きますよね。
子どもって本当に想定外に理不尽なことで泣きますからね。千鳥のノブじゃない方の顔見ただけで「怖い」って泣きます。(そっちの大悟じゃないし)
とにかくどんなに気をつけていてもアドバイスする人はクソバイスで人を傷つける可能性があるんです。I.A.M. つまり、潔くあきらめましょう(そっちのDaigoでもない)。
せめてお節介を覚悟のうえでアドバイスを言おうじゃないか。
誰も傷つけないために、自分が聖人君子でいるためだけに有益かつ適切なこと以外は何もアドバイスも声かけもしないってことの方がどうかしていますよ。
困ってる本人の想定外から有益情報にエンカウントできることも実際多いにありますからね。
それでもし失敗して相手を不快たらしめたら、すごく謝ったりすぐ引き下がったり自分の非を認めたりことの方が大切です。その覚悟でアドバイスすればいいだけの話だと思います。
つまり
「アドバイスのほとんどはクソバイスになりえるから覚悟して(言えば)オケ!」
ということです。
ダジャレです。本当すみません。おわります。
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