インターネッツをぼんやりながめていると、「知らん」でマウント取ろうとする人が多くいて、とても気になります。
たとえばヤフコメとかブコメで、あまり有名じゃないタレントとか人のニュースだと必ず「誰ww」みたいなコメントあるじゃないですか。あれは一体なんなのか?
そのあと「〇〇を知らないなんて」でマウント返しをしてくるブコメ民の気持ちの方がまだわかるんですよね。無知をバカにして博学を傲るの。それは上下関係わかりやすいですからね。
でも、「何それ知らない」で勝ち誇ってる人の心理は…なぜゆえに?
いったいどういうメカニズムで優越感にひたっているのか?
思い起こせば古くは源しずか女史による「もう!のび太さんたら!知らない!」にはじまり、最近では「ラピュタ?バルス?見たことないから知らんけど(ドヤァ)」に見られる「ジブリ知らんけど」メソッドまで、「知らんけど」マウンティングには枚挙に暇がありません。
このメカニズムを紐解けば、現代人は、もしかしたら自分の無知をも最大の自己肯定感に変換して生きることができるのではないでしょうか。そう、かの有名なソクラテス大先生のように!
そこで今日は「知らんけど」マウンティングをわかりやすく解説するとともに、誰でも簡単に「知らんけど」マウントを取れる方法について考えてみたいと思います。
ケース1・興味ねーしマウント
ブコメでよくある「本文と関係ないけど」クソコメに代表される、労力・時間のムダさを暗に批判する達観マウンティングです。「私はそんなことを知る必要もなかった」→「私はあなたのようなくだらない興味に心血を注ぐ人間ではない」という意識高い系の念をこめることで優位に立つことができるらしいです。リアル世界では「なんでそんなこと知ってるの?暇だねww」という言い回しでよく使われたりもしているとのこと。
興味ねーしマウントのやり方
この記事に「タイトルしか読んでないから知らんけど、知らんけどはマウンティングじゃなく関西ではフツーに使われてる締め言葉のひとつです。」とブコメする。
ケース2・無名羞恥マウント
Youtubeのコメ欄に必ず登場する「誰ww」に代表される、オレが知らないくらいだからそれは知名度が低いって証拠だぞマウンティング。有名はえらい。有名は正義。有名カッコイイ。無名は恥ずべき。無名かっこ悪い。俺が知らなきゃ有名じゃないし、無名なやつは見下していい、といういかにも情報メディア最適化された現代日本らしい価値観に裏打ちされて成り立つマウント理論。つまり、認知度=自分が知ってるかどうか=人間の価値そのもの、と盲信することが優位に立つ上での要。
無名羞恥マウントのやり方
皇居前広場にて「知らない。知らない。何それ、やだ、知らなーい!神の子孫とかなにそれ〜?そくいれいデン・・・せい・・・のぎ?知らなーい」
ケース3・希少性マウント
「ジブリ知らん」メソッドに見られる少数派によるレアリティマウントがこれ。大衆文化=ダサい、それに盲信しないオレ=イケてる、に代表されるサブカル厨メソッドにも裏打ちされているようです。つまり「俺って変わってるから宇宙よりいでし堕天使だし」的な、中2病に近いマウンティングなのではないかと。
希少性マウントのやり方
なんの脈絡もなく唐突に「タピオカミルクティ?なにそれ美味しいの?」とツイート。
ケース4・木を見て森を見ずマウント
「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」に代表される次元超えマウント。天然で「知らない」世界があることを示すことにより、無害で安全な世界にいることを知らしめるのが目的のようです。あなたの生きている低レベルで下世話な世界線はハイレベルで幸福な私の世界線からはまるで見えなかったのです。「興味ねーし」マウンティングにも近いですが、より確実に「私、関係ないので」を明示するのがこのマウンティングですね、きっと。
木を見て森を見ずマウントのやり方
「タピオカってなに」ツイートにきたクソリプ「食べたことないの?マジ?」「つーかナニそれオイシイの言い回し古くね??」に対し「L.A.では流行ってないけど。」「え…?オイシイの?って言い回し自体が古いってどういう意味ですか?」とクソリプ返ししてさらなる追い打ちをかける。
ケース5・ツンデレマウント
のび太さんなんか今後もういっさい関心をしめしてあげないんだからね!(本当はものすごく気になっている)私が、この可愛い私が気にかけてあげないんだからね!(いつもはとても気にかけている)的な心とカラダは裏腹、思春期の揺れ動く心をよりいっそう盛り上げ演出するためのマウンティングです。メカニズムはよくわかりません。乙女とは「なんか気になっちゃうから逆に知らんぷりしちゃうもんね」設定に酔いしれてプリンセス(あるいは月島雫)的な存在感を味わうことができ、かつ気分をあげることができる生き物のようです。
ツンデレマウントのやり方
おわります
この「知らんけど」マウンティングを広義に発展させ、よりカジュアルにした汎用言葉が、昨今みなさんがよく使われている締め言葉である「知らんけど」のようです。
この「知らんけど」表現は本当に便利で、なんと、今回解説した全てのマウンティングの観念を内包できるんですってよ。
例
「武蔵ウンコ杉」はなぜキャズムを超えたのか|出村光世|note
下水をうんこって言いたいアーリーアダプターと、ウンコ言いたいけどなかなか言えないなんとかマジョリティとのキャズムをウンコすぎ=うん小杉というオヤジギャグが超えさせたって話ね。知らんけど。
2019/10/16 00:42
このように、キャズムとか興味ねーマウントからの「なんとかマジョリティ」表現で無名羞恥マウント取りつつウンコ皮肉で次元超えマウンティング、かつ奇をてらった「下水をウンコって言いたいアーリーアダプター」見解でレアリティあげ、さらに何気にオヤジギャグ下げマウント(ツンデレ)まで内包しつつ、最後には滑ってることからすらも逃げるために「知らんけど」を文末に入れることなどもできるようです。
とても便利な言葉ですね。
つまり、最後になんでも「知らんけど」をつけていればとりあえずどんな人でも何かしらにマウンティングができ、自己肯定感を高めることができ、承認欲求なんか満たさなくても人間はブコメで幸福に生きられるということのようなのです。
この方法論を「ブコメで”知らんけど”って言っときゃ人類皆平和」メソッドとして以後よく広めていきたいと思います。 知らんけど。
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