見知らぬ女に、自分の子どもについて色々言われてモヤモヤした経験はおありですか?
私にはあります。中でも1番忘れられないのは、第3子出産後に3人を連れてパン屋に行った時のこと。
知らない年配の女性に「下の子が生まれたからって上の子をかまってやらないのはいけない」と一方的に言われ、「あなたはそんなに頑張らなくていいのよ、もっとお母さんに甘えなさい」と当時7歳の娘が説教されたことです。
私自身も産後の不安定な時期だったうえ、娘はすごく末子の誕生を喜んで可愛がってくれていた頃だったので、その娘に説教されたのが悲しくて悔しくて半泣きになりました。
しかし今となってはそのバーサンにも、あたかもいいともの観客席のようにナチュラルに
「そーですね!」
と合いの手を打つことができるでしょう。
どうしてそのような境地に至ったのか、このモヤモヤはどうしたら晴れるのか、そのコツを今日は伝授いたします。
※ライフハックではないので全く役にも立ちませんがどうかご了承ください。
ことのあらまし
第3子の出産後、生まれたてホヤホヤの3番目とチョロチョロする2歳児とすっかり落ち着いた小2女子を連れてイートインのパン屋に飲食しに行った際、隣の席にいた老女が話しかけてきました。
とにかくママが一人で赤ちゃんと子どもを連れて歩くと、かなりの確率で年配の女性に声をかけられるものなのです。・・・いや、白状してしまうと、もともと私は子どもを産む前からとても老女に声をかけられやすい体質でした。自分が初めて行った駅とかでさえ、電車の乗り換えや道を聞かれてタジタジになることがしばしばありました。たぶん、全体の印象が、高年齢層にとても無害な印象を与える傾向にあるのだと思います。
なお、「首も座らない赤子を外に連れて歩くと老婆から怒られる」という都市伝説「まあまあこんなにちっちゃいのに連れまわされてかわいそ」ババアの話をよく耳にするのですが、実はこれには1度も遭遇したことがないのです。おそらく、全体の印象が、低月齢児にもたいへん無害な印象を与える傾向にあるのだと思います。(なんのこっちゃ)
この時の老女も、特に低月齢児の赤子についてはとやかく言っていなくて、なんだったかなあ「自分は早くに夫を亡くして3人を育てあげた」とか「自分の息子は国のお役人だ」みたいな話をしていた気がします。「すごいですねw」「国のお役人ってなんですか」みたいなみたいな。
すると、唐突に「この長女ちゃんをウンと褒めてやらなきゃならない!この子はかわいそうだから優しくしてあげて!抱きしめてあげるのよ」みたいな話になりました。
よくよく聞くと「私は4人きょうだいの長女で散々弟や妹の面倒を見てきた」「何でも自分のせいにされて辛酸を舐めてきた」と言うのです。そうか、おばあさんは辛酸なめ子さんだったのか(ちがうちがう)。
どうです?モヤモヤしてきたでしょう?(いや、なめこさんで全部消えたけど?)
私はあの切れ味抜群の文調を思い出しながら「まあまあそれは大変でしたねなめ子さん」と適当な相槌を打って聞いていました。
モヤモヤの出処は自尊心
ところで、このモヤモヤは「てめえは私の子育ての一体何をわかっとるってんだい?」という反感から来ています。
特に普段一人で育児を頑張っている人ほどピンピンに張り詰めている琴線なのです。一人で頑張ってるということは、それだけ自分の判断を頼りに子育てをしているということなので、育児に対して強い「自分軸」を持つ必要に駆られています。
それを「今」この瞬間にしか責任が生じ得ないような他人にとやかく言われて、関係ない人の自己満の材料になんかにされたくないんだよ、という誇り(プライド)があるのでとてもムカついてしまうのです。
それでいいのです。自己判断ができなくて、育児なんてやってられません。ただでさえ、いつでも「この子育てで本当にいいのか?」という不安と葛藤と戦っているのですから、「あんたの子育て間違ってるよ」とか言う輩に対して攻撃的になるのは致し方ありません。まずは心の中で「く・そ・く・ら・え!」と唱えてやりましょう。
それでは解消法です
さて。
老女の鼻毛をよく見ましょう。よく観察してみてください?
偉そうに話している老女の鼻から毛が見えますよ・・・?
いや、鼻毛じゃないかもしれない、あれは・・・ヒゲか!?
いやいや、ヒゲですらない、うぶ毛が進化した剛うぶ毛だ!!!
実はこの時の老女はとてもお年をめしていらして、歩行もままならなかったので、さしもの私もとてもモヤモヤしているどころではなかったのです。むしろハラハラしていました。
髪の毛のセットはとてもちゃんとしてらしたのですが、口元と鼻元の剛毛は伸び放題でした。それで私は老婆がそれを剃ったり、切ったりするための道具を用意したり、そういう処理をするのにも気が回らないほどに、生活するのが大変なのだということを瞬時に悟りました。
そしてそんなたいへんな中、私なんかのために説教やら助言やらを一生懸命してくれているのだと思うと、胸が痛くなりました。
それで私はプライドとかホコリとかももうどっかに吹っ飛んで「この人を安全に家に帰してやらなければ」という使命感が芽生えました。そして、自宅までの歩行をサポートしました。長女もそれを手伝ってくれました。
おばあさんは最後まで「あんたはかわいそうだ」と長女のことを言っていたので娘も「私ってかわいそうなの?」と気にしていました。でも帰宅後に「おばあさんは昔ね、弟や妹の世話をしてとっても苦労されたんですって。だからあなたもそう見えるみたい」と説明してあげました。
それ以来、私はこういう口うるさい方にお会いすると、決してご年配の方でなくても、すぐに剛毛なヒゲうぶ毛のことが脳裏に浮かび、パブロフの犬のような条件反射*1で感謝の念が湧き出てくるようになりました。
皆さんも、もしよろしければ、育児に口出ししてくる見知らぬ老婆にモヤモヤした際には、このひげうぶ毛の絵を思い出してください。
え?何?余計にモヤモヤするって????
さいごに
もし、この相手が自意識過剰なママ友であったとしても、相手の背景を想像してみて
「この人は夫からも愛されて自分にも自信があってそれを誰かに分けてあげたくて仕方がなくて、とにかく頭がハピハピハッピーさんなのかもしれない」
と考えてあげてください。そして
「よしよし温室育ちの子猫ちゃん、こちらにおいで」
と手なづけて、ちゃんと家に帰してやりましょう。
(安全に帰れるか心配ですからね)
お相手の気分を良くさせて、そのまますかさず家に帰してやりましょう。(安全に帰れるか心配ですからね)
次回は「ママ友との会話でモヤモヤすること」についてを書きたいと思います!お楽しみに!
*1:餌をやる時毎回鈴を鳴らされていたパブロフの犬は鈴の音を聞いただけでヨダレが出るという条件反射。